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乳がんは女性がかかるがんの1位ですが、死亡数は4位という統計が出ています(「がんの統計2022」/国立研究開発法人国立がん研究センター)。これは早期に発見し適切な治療ができれば、治る可能性が高いがんでもあるということです。今回は乳腺外科・竹内恵医師に乳がんの予防、早期発見と治療についてひまわり編集部が聞いてきました。
乳がんは乳腺の組織にできるがんです。ほとんどは乳管から発生しますが、乳腺小葉という箇所から発生することもあります。主な症状は乳房のしこりですが、乳房にくぼみやただれができる、左右の乳房の形が非対照になる、乳頭から血性(または血のまじったような)の分泌物が出ることもあります。30代後半から増加しはじめ、40代後半~50代前半でピークになります。さらに60代前半で再びピークをむかえます。
乳がんは女性ホルモンが深く関わっている為、初経が早い、閉経が遅い、出産経験がない、
初産年齢が遅い、授乳歴がないことがリスク要因とされています。その他に、閉経後の肥満、喫煙、飲酒などの生活習慣がある方もリスクが高いことがわかっています。
乳がんの完全な予防方法はありませんが、日常生活で注意できることはあります。閉経後の方は適正な体重管理を意識し、肥満を避けてください。また生活習慣で実践できるのは適度な運動を続けること、飲酒をひかえること、禁煙することなどが挙げられます。
また、前述の遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)かどうかを知ることで予防ができることもあります。
国の指針では、40歳以上の女性は2年に1回、マンモグラフィ検査による検診をすすめています。しかし年齢だけでなく個人差もありますので、検査の回数や超音波検査との併用などは専門医と相談しましょう。
がんは2人に1人がかかる病気と言われますが、実際にがんでなくなるのは3~4人に一人と、
がんを克服した方も増えています。その理由としてがん診療が進んできたことがあり、乳がん診療においても治療の技術や薬剤の開発から診断のための検査までめざましく発展しています。
その一方で、がんは発見が遅れるとやっかいな病気でもあります。攻略方法もどんどん進歩していますが、がんを克服する究極的な最終目標はやはり予防です。いくら検査が発達しても検診を受けなければその恩恵を受けることができません。一番重要なのは、私たち一人ひとりが早期発見のために検診を受ける意識を強く持つことではないでしょうか。ぜひ定期的に、がん克服に大きく影響する検診を受けてください。
また、乳がんは自分で乳房を触ることで確認できることも少なくありません。自分の体と向き合い、チェックをおこなうことを心がけてみてください。そして乳房検診を受け、がん予防の第一歩を踏み出してみましょう。