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ひまわり編集部が聞く!Interview

進行がんへの医療~患者さんに合わせた治療・ケアの選択~

2024.11.06
進行がんへの医療~患者さんに合わせた治療・ケアの選択~

当院では、進行がんに対して抗がん剤治療から緩和ケアまでさまざまな対応をおこなっています。腫瘍内科・緩和ケア内科での医療の特徴を先生方にお伺いしました。

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当院の進行がんへの医療の特徴はありますか?

吉岡Dr: 当院では、腫瘍内科・緩和ケア内科を医師が兼任し、抗がん剤治療と緩和治療のどちらもおこなっています。そのため、診断されてから最期まで同じ医師が対応していくことができます。
日本では一般に、臓器ごとに診療科が治療を担当することが多いのですが、当院では乳がん以外の抗がん剤治療を腫瘍内科でおこなうことも特徴です。

抗がん剤治療について教えてください。

堀Dr: 進行がんは完全に治ることを見込めない人が多く、抗がん剤治療をすることで少しでも長く元気でいていただくために治療をおこないます。当院では放射線治療もできますので、放射線治療科の医師と連携して治療することもあります。
処置や専門的な治療が必要な場合は、各科の先生と連携をとり対応しています。当院は診療科の壁がなく連携が取りやすい病院だと思います。

緩和ケアについて教えてください。

髙田Dr: 患者さんの痛みや息苦しさ、だるさなどの身体的な苦痛に対して、また患者さんが抱えていらっしゃる気持ち、心理社会的、スピリチュアルなつらさについても一緒にサポートしながら緩和ケアを提供しています。
腫瘍内科・緩和ケアを医師が兼任していると、患者さんのそれまでの経過をみているので、その人らしさがわかることが強みです。生活のサポートが必要な時期も的確に知ることができます

緩和ケアへ移行するタイミングは?

谷山Dr: 一般にはまだ、抗がん剤治療が効かなくなったら次に緩和治療へという根強い誤解があります。しかし、進行がんの患者さんは診断されたときから、緩和ケアを提供するべきだと言われています。当院では同じ医師が腫瘍内科と緩和ケア内科を担当していますから、私たちは患者さんとお会いしたときから緩和ケアを意識して医療を提供しています。抗がん剤治療の担当から緩和ケア内科に担当が替わることに悲観される患者さんもいらっしゃいますが、当院では診断されたときから最期まで担当医がずっと同じなんです。

堀Dr: どこからが緩和ケアということはありません。どういう状況になれば緩和ケアということもありません。抗がん剤治療をうけたい患者さんが、治療可能であればしますし、治療したくない患者さんは抗がん剤治療しなくても外来通院できます。緩和ケアへの切替がないのが当院の特徴です。

治療の選択も、生活の選択も患者さんのご希望に合わせて対応できるようにしています。

緩和ケアは病棟に入院が必要ですか?

堀Dr: そこはわけてないんです。入院しなくても良い方は外来通院になりますし、在宅で過ごされる方、緩和ケア病棟にご入院を希望される方それぞれご希望に合わせて検討いたします。

吉岡Dr: 緩和ケアでは、医療的な側面と、生活の側面を考える必要があります。がんは病状によって生活への支障が大きく変わりますから、その時期の状況に合わせた対応が必要です。
通院が難しいけれど、家で過ごしたい人には、近隣の医療機関、もしくは当院から訪問診療をおこないます。患者さんは家にいたまま、緩和ケアをうけるこができます。

今後、実現されたい医療は?

吉岡Dr: この地域で、進行がんの患者さんへ最良の医療を提供したいと考えてきました。常に最新の医療技術を取り入れ、高度であたたかい医療を提供し続けたいと考えています。


髙田Dr: 循環器疾患や慢性の呼吸器疾患などがん患者さん以外への緩和ケアにも取り組みたいと思います。当院には「緩和ケアチーム」がありますが、対象患者さんはがん以外の方も多いです。
入院後に不眠やせん妄などの精神症状がでてしまう患者さんの相談が多いですね。この場合チームでは、状況の分析をして対処法を伝え、必要なときには薬剤を使って症状緩和をします。
部屋の環境を整えたり、リハビリを積極的にしてもらったり、薬剤の組み合わせを考えたりと、医師、看護師や薬剤師など多職種で協力しています。

堀Dr:がんとの付き合い方は人それぞれです。抗がん剤をするかしないか、抗がん剤をどう選ぶか、などその人の価値観に合わせて、治療や療養場所の選択を考えていきます。がんがわかった時点から、どのように生きていきたいのか時間をかけて話しあいサポートしていきたいです。
進行がんに対して、当院ほど抗がん剤治療と緩和ケアを一緒にできる病院は少ないので、それをもっと広く知っていただきたいと思います。

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